映像化の話とか、いろいろ

そろそろ報告したほうがよいのではないかと思うので、お知らせします。
2015年に発表があった「くさびらの道」の映画化企画は中止となりました。
(下記は発表当時の記事)
https://animeanime.jp/article/2015/02/13/21965.html
 
シナリオは早い段階で完成していました。何度も改稿を繰り返した完全版が、できあがっていました。私はシノプシスまでは確認し、著者として、SF設定などに関する提案も行いました。日本とアメリカでは医療制度や社会の仕組みが違うので、映画版は、アメリカのカルフォルニア州が舞台となるオリジナル・ストーリーに仕上がっていました。キノコが大量発生する原因に自然災害を組み合わせたり、当時のアメリカ社会の状況が反映されるなど、なかなか凝ったつくりになっていました。
 
制作の中止が決定されたのは、皆さまも薄々想像していたのではないかと思いますが、コロナウイルスによるパンデミックの発生が原因です。「くさびらの道」は感染症の話なので、現実で洒落にならない状況に陥っているときに、こういう映画をつくることはできない。また、現実の事件を反映して、多数の類似作が各所から出てくると、映画として成功させるのが難しくなるという理由もあり、中止の判断がなされました。まさか、100年ぶりの大規模パンデミックに、この作品が、こんな巻き込まれ方をするとは著者もびっくりでしたが仕方がありません。また、仮にコロナ禍にめげずに企画を進めていたとしても、その後に始まった全米映画俳優組合のストライキの影響で、やはり制作中止になっていたのではないかと思います。

できれば、他のよい知らせと共に報告したかったので、これまで公表を伏せていましたが、新たなよい知らせがなかなか訪れないことに加えて、今年は、最初の映像化企画発表からちょうど10年目にあたることに気づき、まとめの報告を行うことにしました。

読者の方々からは、拙作(複数の作品)に関して、映像化してほしい、コミック化してほしいという話を、新作刊行のたびにしばしばいただくのですが、どの作品に対しても、さまざまな事情から、なかなか実現されない現状があることは、著者として残念に感じています。
それでも、どこかで声があがることは、何かを動かすかもしれません。これからも、コミック化や映像化などのご希望は、遠慮なくお知らせいただければ幸いに存じます。

引き続き、よろしくお願いいたします。