このエッセイは、自分の手元にある記録を整理・公開する目的で始めた。執筆にあたってあらためて古い記録を読み直しているうちに、そういえばあれも忘れていた、これも忘れていた、こういった話はSF関係のWebや関連書のどこにも書かれていないはずだ……という事柄が、ごろごろ出てきた。
自分の身辺のみに限ってもこうなのだ。
表だって語られていないところに、日本SF史における重要事項は、まだまだ隠れている(というか、既に消えつつある/忘却されつつある)のだろう。
エッセイの執筆途上においては、想像していた以上に様々な記憶が甦り、すべてを記述していたら、この連載がいつまでたっても終わらないと気づいた。これは由々しきことだ。そろそろ、本来の仕事のみに戻らねばならない。
もともとは、『上海灯蛾』の単行本化作業が終わったら少し手があくはずだから、すきま時間を利用して……と思って始めたのだが、書けば書くほど言及しておくべきことが新たに見つかり、きりがなかった。そこで結局、大雑把に年代の流れだけを追い、各著作にまつわるエピソードの詳細は省いた。これでなんとか、必要最低限の出来事を、2003年から2023年まで辿れたはずだ。
作家生活を送っていると、親しい作家同士の交流で山ほど面白いことが発生するが、これも今回は書かなかった。こういった話は私がもっと歳をとり、同世代の最後の生き残りとなったときに、証言者としての立場から少しずつ語ることになるだろう。勿論、自分が最後の生き残りになるかどうかは定かではない。昨今の社会情勢を鑑みるに、ある日突然、私が一番先に消えてしまうかもしれないのだ。こればかりは予見不可能である。
自著に関連するエピソードに限っても、記録を整理しきっていないことは山ほどある。したがって、次が何年先になるかは不明だが、このエッセイは再び書かれるときが巡ってくるはずだ。そのため、Instagramのアカウントは今後も存在し続ける。しばらくは、主に、新刊やニュースの更新アカウントとなるだろう。
日常的なつぶやきは、現在、Mastodonの個人アカウントで行っている。ソロインスタンスである。ただ、これは個人で外部と契約しているサーバなので、突発的な事情から(契約が継続できなくなって)ある日突然、消失する可能性がある。
そのため、ある程度の期間までなら更新しなくても消失しない予備アカウントとして、新たに、Threadsを併用する予定だ。Threads は Instagramと違って文字だけで投稿できて、外部ヘのリンクもはれる。日常的な書き込みには便利なのだ。Mastodon と Threads、どちらにも同じことを書くので、両方をフォローして頂く必要はない。というか、日常的な書き込みをするだけなので、双方とも、無理にフォローして頂く必要のないアカウントだ。エッセイを再開する際には公式アカウントで告知するので、そのとき、また Instagramを読みに来て頂ければ事足りる。
というわけで、「著者記録: 2003-2023」は、今日でいったん終了となる。
2023年12日8日は、いよいよ『播磨国妖綺譚 伊佐々王』(文藝春秋)の発売日。年内最後の自著刊行だ。
そして、12月13日には、うれしいニュースをひとつ告知できる予定なので、楽しみに待って頂きたい。その記事はこちらにも投稿する。
ここまでの記録は、400枚詰め原稿用紙換算で、だいたい100枚ぐらいになった。
将来、細部や続きを書き足して電子書籍として刊行できれば――ということも考えている。
その折りには、また、よろしくお願い致します。
【エッセイ・第一部(完)】